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虹の彼方で
第10章 後ろから
何ゲームかして2階に戻ると、奥のトイレから、双子くんが出て来るところだった。
えっと……、どっちだ!?
正直、まったく分からない。
とりあえず頭を下げると、向こうがピタリと止まって、じっと見つめられた。
あぁ、これは、なんとなく、春樹君っぽい……?
「春樹君?」
「なに」
「あ、……なにっていうか。あ! そう、さっきさ、下でボドゲしたの。今度、春樹君も、一緒に遊ばない?」
「いいの?」
「え、そりゃ、もちろん」
「俺、勝ち逃げしかしたことないけど」
「……は?」
「俺と互角に戦えんの、夏樹だけだけど」
「そうなの?」
「そう」
ぶっきらぼうに答えた彼は、止まっていた足を動かし、自分の部屋の扉の前に行く。
もう会話は終わったらしい。
え? 終わったの!?
そのまま部屋に戻ろうとする彼に、どうしようかと迷いながらも、「それでも」と私は声をかける。
振り返った彼に微笑むと、眉を寄せられた。
うっ、……めげるな、美咲!
「それでも、いいよ。やろうよ」
満面の笑み、で言ったつもり。
でも、彼は不思議な生き物を見るような目で怪訝そうに頷くだけだった。
「わかった。じゃ」
会話が、辛い……!
なんだろ、全くコチラに興味がなさそうな人と会話するのって、きついんだね。
美咲、17歳。悟った!
何故か憔悴しつつ部屋に入ると、適当に荷物を片付けて、思い出したように教科書とノートをパラパラっとめくる。
こういう時は、普段通りのことをするに限る。
例えば、こんな風に「勉強する気もないのにノートを眺める」とかね!
そいえば、新しい学校って、どこまで授業、進んでるんだろ。
後で、翼に聞いてみよ。
そんな風に、その日は、何事もなく過ぎていった。
夕飯の時に、学校の勉強の話をしたら、翼が夜に授業の進行具合を教えにきてくれて。
英語の一部が遅れてたから、その分は、ノートを借りて。
就寝前には、きちんと鍵もしたし。
布団の中は、まだ、少しだけ、アイツの匂いがしてて…。
それで安心するなんて、癪だけど、でも、静かに眠りにつくことが、できた―――。
えっと……、どっちだ!?
正直、まったく分からない。
とりあえず頭を下げると、向こうがピタリと止まって、じっと見つめられた。
あぁ、これは、なんとなく、春樹君っぽい……?
「春樹君?」
「なに」
「あ、……なにっていうか。あ! そう、さっきさ、下でボドゲしたの。今度、春樹君も、一緒に遊ばない?」
「いいの?」
「え、そりゃ、もちろん」
「俺、勝ち逃げしかしたことないけど」
「……は?」
「俺と互角に戦えんの、夏樹だけだけど」
「そうなの?」
「そう」
ぶっきらぼうに答えた彼は、止まっていた足を動かし、自分の部屋の扉の前に行く。
もう会話は終わったらしい。
え? 終わったの!?
そのまま部屋に戻ろうとする彼に、どうしようかと迷いながらも、「それでも」と私は声をかける。
振り返った彼に微笑むと、眉を寄せられた。
うっ、……めげるな、美咲!
「それでも、いいよ。やろうよ」
満面の笑み、で言ったつもり。
でも、彼は不思議な生き物を見るような目で怪訝そうに頷くだけだった。
「わかった。じゃ」
会話が、辛い……!
なんだろ、全くコチラに興味がなさそうな人と会話するのって、きついんだね。
美咲、17歳。悟った!
何故か憔悴しつつ部屋に入ると、適当に荷物を片付けて、思い出したように教科書とノートをパラパラっとめくる。
こういう時は、普段通りのことをするに限る。
例えば、こんな風に「勉強する気もないのにノートを眺める」とかね!
そいえば、新しい学校って、どこまで授業、進んでるんだろ。
後で、翼に聞いてみよ。
そんな風に、その日は、何事もなく過ぎていった。
夕飯の時に、学校の勉強の話をしたら、翼が夜に授業の進行具合を教えにきてくれて。
英語の一部が遅れてたから、その分は、ノートを借りて。
就寝前には、きちんと鍵もしたし。
布団の中は、まだ、少しだけ、アイツの匂いがしてて…。
それで安心するなんて、癪だけど、でも、静かに眠りにつくことが、できた―――。