この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
虹の彼方で
第2章 イケメンお兄さん
ガチャン―――☆
「ひゃっ!」
「っと、平気?」
叫んで立ち上がった拍子に、脛がローテーブルにぶつかって、麦茶グラスが倒れてしまった。
わわわ、ラグに麦茶、垂れちゃう……!
慌てて膝立ちになり、咄嗟にスカートで雫を受け止める私をよそに、お兄さんは素早くキッチンに行くと、布巾とキッチンペーパーを持って戻ってくる。
あぁ、イケメンお兄さんてば、咄嗟のハプニングにも冷静な対応…。
思わず心の声が……
「かっこぃぃ…」
漏れた。漏れる。漏れるでしょ!
「ん?」
「あ! いや、なんでもないです!」
「そう? あぁ、スカート……、ごめんね」
ガラスのローテーブルにキッチンペーパーを適当にまいて、私の方へ向き合うと一緒に膝立ちしてスカートの麦茶を布巾で拭いてくれる。
私が勝手に倒した麦茶なのに、謝ってくれるなんて、どこまで良い人なんだろう。
でも、……この人も、このシェアハウスの、住人さん? なんだよね?
≠女子ばかりのシェアハウス
=男子ばかりのシェアハウス
この図式を改めて思い返して、ちょっと動けなくなって、お兄さんの手元だけ凝視してたら、不意に顔を上げたお兄さんが、ぐっと顔を覗き込んできた。
「!」
「美咲ちゃん? 大丈夫?」
や、だめです。
だめだから、あんまり顔寄せないで…!
長いまつげとか、心配そうに寄せられた眉とか、薄い唇とか……、だめだめだめ!
「だ、だ、だ、大丈夫です」
「そう? ごめん、びっくりさせたよね」
びっくりです(主にお兄さんの色気に)。
あと、まぁ、その、はい……、真実にも……。