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虹の彼方で
第12章 ヨツキタのアイドル
転校初日って、本当に緊張する。
学校までの道のり、バスと電車で、全部で…、30分ちょい?
朝からソワソワしてたせいか、翼と登校してる最中から、色んな人に見られてた気がしてならなかったし(多分、私服のせいだと思う)。
職員室に立ち寄って、色々と書類に最後のサイン?をしてる時も緊張したし(教科書の受取サインとかね)。
穏やかな天気と裏腹に、私の胸はドキドキしまくってて、新しいクラスメイトと慣れることができるか不安で仕方なかった
…のだけど。
「ええええええええええ!?」
クラス中の男女が、一斉にこっちを向くんじゃないかっていう勢いで、絶叫した女の子に、
私は、わたわたして、人差し指を口元に持っていく。
「ちょ、そんな、大声ださないで、彩乃(あやの)!」
「ごめん! だって、美咲が、とんでも発言したんだもの」
「え、そんなに、大変なこと、私言った?」
「言った言った! あんた、ヨツキタの女子、半分以上を敵に回す発言だよ、それ」
「うそ……」
向かいに座ってた彼女は、すくっと勢い良く立ち上がると、時計を確認してから私に手を出した。
「え?」
「ここで話せるような話じゃないって。屋上、いくよ」
「あ、うん」
私の手を握って屋上への階段をガンガン上がっていく、黒髪ポニーテールの彼女は、
黒木彩乃(くろき あやの)。
初日から緊張しまくってた私に、グイグイ話しかけてくれて。
お昼も一緒に食べようって、学食のパンを買い込んでくると、教室内で食べながら、色んなクラスメイトの性格だとか、得意科目だとか、教えてくれた。
ただ、その話をしてる最中も、なんとなく、私はクラスの皆の視線を感じる気がしたから、
「転校生って珍しいのかな?」って聞いたら、
「転校生も珍しいけど、あんた、朝、十神翼と一緒にいなかった?」って聞かれて。
「うん、同居してる」って答えたら、冒頭の絶叫に繋がったわけ。
二人で暮らしてるってわけじゃないから、そこまで変な話にはならないと思うんだけどな。
なんて考えてたら、彩乃が屋上への扉を開けた。
うわ、いい天気……!