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虹の彼方で
第14章 思い、それぞれ

「美咲! 今日、チーム戦やるみたいだからバスケ部の練習、ちょっと覗いてかない?」

「チーム戦?」

「そうそう! バスケ部のメンバーが2チームになって、対決するの」

放課後、カバンに教科書をしまっている私に話しかけてきた彩乃は、どこで聞いてきたのかバスケ部の練習スケジュールを把握してるらしくて。

「彩乃って……」

「ん?」

「案外、翼狙いなんじゃないのー?」

ニヤニヤしながら確認したら、「違うって」と一蹴された。

「や、あんたんとこの翼君も凄いプレイヤーだと思うよ? でも、私の目的は今年からスタメン起用の2年生♪ ね、ちょっと見てこ!?」

「わ、かったから、引っ張らないでって」

彩乃の勢いに笑いながら、私はカバンを手にすると、バスケ部がいつも練習に使っているという体育館へ連行された。



   *  *  *



私達の通う四葉北高校、通称ヨツキタは、部活は自由参加制。

受験直前で、参加できても夏までになる私は、どこにも属さずに帰宅部にしたけど、彩乃は茶道部のはず。

体育館の入り口を潜りながら、私は彼女の服をツンツンと引っ張った。

「ていうか、彩乃、部活は?」

「内緒内緒。サボりサボり」

「まじ?」

そんなに見たくなっちゃうほどなの? バスケ部の練習?

感心しながら引き戸をガラガラッと開けると、広い体育館の手前半分には、既にバスケ部のメンバーが集結して、ウォームアップをしていた。

扉を閉めようとすると、背後に走ってきた男の子が「開けといてください」と声をかけてくる。

「いいの?」

「はい、ちょっと暑くなりそうなんで」

見れば、他の引き戸も開け放たれてて、その左右には私達と同じように観覧目的で集まったらしい生徒がチラホラ見えていた。


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