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虹の彼方で
第14章 思い、それぞれ
「美咲。こっち」

女子率の高さに唖然としてたら、彩乃が再び私の手を引っ張る。

「え? 奥?」

「違う違う、上上」

「うえ?」

体育館の隅を横切って、急いで移動する。

コートの白線は壁ギリギリまで引かれてるから、壁際で観覧は出来ない。

自然と入り口近くで眺めることになると思っていたら、彩乃に案内されたのは、コートを見下ろせる2階の張り出し部分だった。

「……うわ」

「絶景でしょ?」

他にも何人か生徒がいたけれど、最前列が、まだ空いていたので、2人で並んで座ると鉄柵の間から下を眺める。

ここは体育倉庫の真上で、主に2階のカーテンを締めて体育館を暗転させる時のための、小さなバルコニーみたいな場所。

見ると、左右の2階通路にも、何人か生徒がたむろしてた。



スカートの裾がめくれないように、正座を崩して座りながら、私は鉄柵に手をかける。

(……んっ?)

その時、左の足首に、ちょっと違和感が走った。

あれ? ぶつけたかな……。

階段を上がる時も、変な感じだったけど。

「……」

足首をさすってみると、なんとなく膨らんでるような、そうでもないような。



「あ、始まる……」



彩乃の呟きに反射的に視線をコートに向けると、

そこから、

私は、すっかり足のことなんて忘れてしまった。





   *  *  *





翼が、いた。

その存在感が、圧倒的なんだってことを、私は、その試合観覧で、初めて理解した。

コートの中の彼は、輝いていたし、的確だった。



翼のポジションは、ポイントガード。

チーム全体にパスを回して、ゲームを組み立てていく立場。

昨日みたいに自分からシュートに行く回数は少ないけれど、その分、チームメイトの持ち味を活かしながら、勝利への道筋を作っていく……。



「すごい……」



開始早々、10分間で、一気に2桁の差をつけた翼率いる赤チームに、私は知らないうちに感嘆の声を零していた。

2分間のインターヴァルでも、熱気が冷めやらない。

タオルで汗をふいた翼が、敵チームの男の子に「あのタイミングで俺を止めなきゃ」とアドバイスしてる。


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