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篠突く - 禁断の果実 -
第3章 本編三話 悪事千里を走る

河内は後ろのロッカーの上に胡座をかいてこちらを見下ろしている。この男は優等生ぶっている私のことが気に入らないのだろう。私がピンチに陥ると、いつもこうなのだ。
「そりゃマズイっしょ」
河内の言葉を皮切りに、教室がざわつく。
面倒なことになった。清楚だのなんだのというイメージをぶち壊すことには何の抵抗も無いが、弟とセックスをしたなどということを認めるわけにはいかない。社会的に抹殺される。弟に、その咎を背負わせるわけにはいかない。
その時、騒がしくなった教室の扉が、ガラリと一際大きな音を立てて開いた。
「……連れてきたよ」
そこにはクラスの男子が三人いて、真ん中のクラスメイトが一人の生徒を羽交い締めにしていた。私は思わずごくりと息を飲んだ。
「孝哉……」
私が唇に乗せたその呟きを、お調子者のクラスメイトがさながらものまね芸人のように真似た。
羽交い締めにされていたその生徒は、孝哉だった。真ん中の男子が、彼を解放して教卓の隣に突き飛ばす。
「孝哉!」
孝哉は受け身を取ることで顔面から追突するのは防いだものの、ブレーキが利かずに教卓の脚に背中を強打し、一瞬顔を顰めた。叫んだ私を安心させるためか、彼は無理に笑って首を横に振った。
「そりゃマズイっしょ」
河内の言葉を皮切りに、教室がざわつく。
面倒なことになった。清楚だのなんだのというイメージをぶち壊すことには何の抵抗も無いが、弟とセックスをしたなどということを認めるわけにはいかない。社会的に抹殺される。弟に、その咎を背負わせるわけにはいかない。
その時、騒がしくなった教室の扉が、ガラリと一際大きな音を立てて開いた。
「……連れてきたよ」
そこにはクラスの男子が三人いて、真ん中のクラスメイトが一人の生徒を羽交い締めにしていた。私は思わずごくりと息を飲んだ。
「孝哉……」
私が唇に乗せたその呟きを、お調子者のクラスメイトがさながらものまね芸人のように真似た。
羽交い締めにされていたその生徒は、孝哉だった。真ん中の男子が、彼を解放して教卓の隣に突き飛ばす。
「孝哉!」
孝哉は受け身を取ることで顔面から追突するのは防いだものの、ブレーキが利かずに教卓の脚に背中を強打し、一瞬顔を顰めた。叫んだ私を安心させるためか、彼は無理に笑って首を横に振った。

