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篠突く - 禁断の果実 -
第6章 本編五話 運命、そして (後編)
 悠の痛みが消えたのを確認して、二人は行為を再開した。孝哉が悠を激しく揺さぶると、肉のぶつかり合う音と、彼女の跳ねるような喘ぎ声が静かな家にこだまする。互いの感情を、愛をぶつけ合うようなその交わりは、ただ欲を満たすためだけの行為より、何倍も、何十倍も、何百倍も美しい。
 今日も明日も明後日も、私達の関係は変わらずに続いていくだろう。弟をひとりの男として愛し、姉をひとりの女として愛し、私達はきっと明日もこうして体を重ねる。それでいい。今は、それでいい。
 この先、様々な波乱が待ち受けていることだろう。それでも私達は、ずっと共にいられるのだろうか。遠い未来のことはわからない。いつか、離ればなれになる日が来るのかもしれない。決して、世間に認められる恋ではないのだから。周りの人達を、不幸にする恋なのだから。人々がこの恋を知ったら、彼らはひどく私達を非難するだろう。
 けれど、今、私達はこうして共に同じ時を過ごし、共に同じ場所で、共に同じ幸せを噛みしめている。今は、そう――今だけは、それでいいと思った。
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