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篠突く - 禁断の果実 -
第6章 本編五話 運命、そして (後編)

切なくて、悠をもっと近くに感じたくて、孝哉は彼女を貫くように、己を深く挿し込むように、その身を強く押しつけた。腕の中で悠が呻くように喘ぐ。ぽろりとその双眸から零れた涙が、孝哉の頬を幾度も打った。それは、変えられぬ運命を嘆く涙にも思えた。
「……姉さん」
苦しそうに絞り出した声で姉の名を呼んだ孝哉は、彼女の濡れた瞳を拭う。
「結婚はできない。子供をつくることもできない。関係を周りに報せることもできない。勿論、一生一緒に生きていくことはできるけど、周りから見たら、俺達は家族であり続けなきゃならない」
あまりにも残酷な運命だった。愛し合っているのに、愛し合うことが許されない。それほど哀しいことが、他にあるだろうか。
言いながら、孝哉は辛そうな表情を見せた。できることなら目を逸らしたい現実。けれど、それができないから、私達は前を向いて歩いていかなければならない。
「それでも姉さんは――……悠は、後悔しないって言える? 苦しくならないって、言える?」
このままこの関係を続けていいのかと、そう聞く孝哉に、悠は泣き笑いのような表情を浮かべて迷わず答えた。
「私、孝哉が好きよ。他には何も望まない」
後悔などしない、苦しくなどならないと、悠は微笑った。
「……うん……そうだね。俺も悠が好きだよ」
そして孝哉は、憂いの色を残しながらも、破顔した。――この愛しい笑顔があるから、私も笑っていられるのだ。
「……姉さん」
苦しそうに絞り出した声で姉の名を呼んだ孝哉は、彼女の濡れた瞳を拭う。
「結婚はできない。子供をつくることもできない。関係を周りに報せることもできない。勿論、一生一緒に生きていくことはできるけど、周りから見たら、俺達は家族であり続けなきゃならない」
あまりにも残酷な運命だった。愛し合っているのに、愛し合うことが許されない。それほど哀しいことが、他にあるだろうか。
言いながら、孝哉は辛そうな表情を見せた。できることなら目を逸らしたい現実。けれど、それができないから、私達は前を向いて歩いていかなければならない。
「それでも姉さんは――……悠は、後悔しないって言える? 苦しくならないって、言える?」
このままこの関係を続けていいのかと、そう聞く孝哉に、悠は泣き笑いのような表情を浮かべて迷わず答えた。
「私、孝哉が好きよ。他には何も望まない」
後悔などしない、苦しくなどならないと、悠は微笑った。
「……うん……そうだね。俺も悠が好きだよ」
そして孝哉は、憂いの色を残しながらも、破顔した。――この愛しい笑顔があるから、私も笑っていられるのだ。

