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篠突く - 禁断の果実 -
第9章 過去編三話 守るということ
 悠は、赤く腫れ始めた頬をニッと上げ、明るく快活な声で言った。

「丁度良かった。お母さんも聞いていってよ。…………私、知ってたのよ。二人が孝哉をいじめてたこと」

 悠の発言に、母の表情は崩れなかったが、父は顔をサーッと青くし、激しく狼狽した。
 嘘を吐いた。悠は、嘘を吐いた。本当は、弟から聞いた話だ。だが、ここで本当のことを言ってしまえば、父は激昂しただろう。それを防ぐためだった。

「最低だと思ったわ。……お父さん、お母さん。金輪際、孝哉に手を出したら、その時は本当に嫌いになるからね。でも、だからって、お父さん。お母さんにまた手上げるようなことしたら、わかってるよね……?」

 悠は、言葉で父に止めを刺した。彼のように、暴力に頼るのではなく。
 父さえ暴力をふるわなければ、母も弟も、不幸になることはない。だが、恐らくこのままでは、父のストレスが溜まって、それが家族以外の他人に向いてしまうだろう。人を食って帰ってきたなどと抜かされては困る。それをも防ぐには、ただ弟を守るだけではダメだ。
 これからは、ストレス解消になることを、父と一緒にやってみよう。
 これからは、母の、苦しかったこと、辛かったこと――これまでの話を聞いてみよう。
 そして、なんとしてでも弟を守り抜いてやる。
 悠は、父母と決別するのではなく、そういう方法を選んだ。これからはこうしようと、その話をするのは、もう少し先でもいいだろう。今は、どんな理由があるにせよ、暴力をふるってしまった二人を軽蔑し、釘を刺す。しっかりと反省してほしかった。
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