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おじさまと咲姫
第3章 目印
『俺がもっとしっかり咲姫を守れたら、良かったのかもしれない。…でも俺は、咲姫がこうして無事で生きていてくれるだけで十分嬉しい。足の事は…残念なんて言葉だけじゃ済まないかもしれないけれど。俺はやっぱり、咲姫が元気でいてくれて良かったって思ってる。今すぐは無理でも…いつか咲姫もそう思ってくれたらいいなって』
言って、彼は私の頭を撫でた。
それこそあの事故の日。
『もう大丈夫だ』
異常に興奮していた自分を落ち着かせてくれたのと同じ、大きくって温(あった)かい手で。
嗚咽を漏らし始めた自分を、優しく見詰めて彼は続けた。
『それにその足の事だけど…そうそう悪い事ばかりじゃないと思うよ』
『え…?』
『どんな人ごみに紛れていても。後ろ姿だけでも。遠くからでも。咲姫が歩いていれば、どこにいるかすぐ分かる。咲姫をすぐに見付けられる』
その足は、咲姫の大事な印だよ-堪えきれず、号泣が始まってしまった。
そのひとことに、再度救われたのだ。
『もしも咲姫が迷子になったとしても、俺が一番に咲姫を探してあげるよ』
彼はいつまでも、その腕に自分を抱き締めてくれた。
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