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第4章 悠聖

「折角彼氏と一緒だったのに、邪魔しちゃったかな」
互いの家の最寄駅までの電車内。
並んで座った彼が、申し訳なさそうに笑った。
「咲姫の後ろ姿が見えたから、ついいつもの癖で声をかけてしまった。ごめんね」
俯き加減の咲姫を窺い、許しを求める。
「…だから。ちょうど帰ろうと、駅に向かっていたところだったし。家は全然違う方向だから、電車の路線も当然違う。…そもそも彼氏じゃないし。サークルの先輩だって、さっきから何回も言ってるじゃないの」
「ならいいんだけど」
－彼氏、なんとなく不機嫌そうだったから。
揶揄するように言われ、咲姫の頭の中で何かが弾ける。
「不機嫌？なんで？なんでそんな風になる必要があるの？なんでそんな風に思うの？」
畳みかけるように、次々と。
ここが車内だという事も一瞬忘れ。
咲姫は右隣りの彼に問い質す。