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おじさまと咲姫
第20章 動揺
「俺が『わざわざ』って言ったのは、雨が降ればどうしたって、足元がおぼつかなくなるだろ。だから何もそんな日を選んで来なくてもって思ったから。お前はもう平気だって言ってたけど…実際その通りなんだろうなって見てても思うけど。でも、心配なんだよ。大きなお世話なんだろうけど」
-電車の日とおんなじ、こんな雨が降ってる時は特に。
悠眞の両眼が細められた。
「なんでもない人間だって、歩く速度は多少なりとも遅くなるし。ともすれば滑ったりもする。そんな日にもしも何かあったらって思うとさ。こういう時、後悔が襲ってくる。あの時、俺がもっと-」
「あのとき…?」
-もっと?
何気に漏らされた悠眞の真意が分からず、咲姫は問い返した。
ただ純粋に自分の答えを待つ咲姫の瞳に、悠眞は我に返る。
「いや-」
-なんでもない。
微かに笑い。
悠眞はそれ以上、何かを言う事はなかった。
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