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おじさまと咲姫
第8章 抱擁
背後から歩いて来る人達も構わず、突如その場に立ち尽くしてしまった咲姫に、昴は不審げな視線を送る。
「円城寺…?」
-どうしたの?
問いかけるが、当然のように答えはない。
じっと、向こう側の歩道を眺めてるだけだ。
昴は車道を隔てた歩道を確認する。
探せば間もなく、見知った顔。
たったの一度しか会った事はないけれど。
忘れようにも忘れられなかったひとが、笑ってた-ふたりで。
それなりに距離があったけど、見間違いなんかじゃなかった。
感情のない咲姫の横顔を一瞥し。
やがて彼は意を決し、彼女の左手を取った。
驚いた咲姫が現実に引き戻された頃には-ふたりの手は、繋がれていた。
「せんぱ…」
咲姫が問うより、昴が彼女の手を引く方が早かった。
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