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おじさまと咲姫
第30章 無駄
なんの計算もなく。
無意識に。
無防備で。
信頼されていると喜べばいいのか。
そんな感情など皆無に身体を寄せられて、残念がればいいのか。
様々な思いが交差し、どうすればいいのか分からなくなる。
「痛いですか、先輩…?」
恐る恐る確認してくる咲姫の声に、昴は現実に引き戻される。
視線を合わせれば、本気で泣き出しそうな彼女がいた。
昴はすぐさま笑って見せた。
「円城寺にちょっと叩かれたぐらいで、どうこうなるほど柔じゃない」
その言葉に咲姫はようやく安堵し、表情を崩す。
「ほんとに?」
「あんまり見くびるなよ。そんなに弱そうに見える、俺?」
「そんな事ないです。…ただ私、馬鹿力だって瑠璃子によく言われるから」
「女の子の力じゃ、普通の男ならそうどうこうならないよ。差別してるわけじゃなくてさ、やっぱり身体の作りや力の強さは、男と女じゃどうしても違うだろ?」
昴が苦笑すれば、咲姫も同意するように小さく頷いた。
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