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おじさまと咲姫
第31章 限界
「うん。やっぱすっげぇ、美味い。この皿にある分全部、独り占めして食っちゃっていいかな、円城寺?」
冗談とも本気ともつかない事を言われ、咲姫はもう顔を上げてはいられなかった。
紙皿の上のブラウニーに視線を落としていれば、昴が誘ってくる。
「花火しに行こうよ、円城寺。海から戻ったらまた食べてもいい?」
目が合うと微笑まれ、咲姫は頷くだけで精一杯だった。
昴と共に、シートの上から立ち上がり、海へ向かって歩き出す。
生温かな潮風が剥き出しの手足に絡み付く中、肩を並べて進んでゆく。
きっと本当はもっと歩く速度は速いのだろうに。
歩調はゆっくりで、自分に合わせてくれているのが分かる。
彼に限らず、自分の周りの人達はみんな優しい。
それも押し付けがましくなく、さり気ない。
大抵はそこまで合わせてくれなくても大丈夫な場合が多いけど-でも、その気持ちが嬉しかった。
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