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おじさまと咲姫
第35章 未練
耳の奥深くに愛を注ぎ込まれ、咲姫は言葉を失った。
『好きだ』と告げられた事は初めてじゃない。
けれど、改めて。
息遣いさえ感じる近距離で言われるのとでは-まるで感じが違った。
スマートフォンを通しているのに、あたかも彼がすぐ目の前にいて。
耳朶に唇を寄せられて、直接囁かれているかのような錯覚を覚えてしまう。
『なんでいきなり電話なんかって…会いたいから。それ以外の理由はない。夏休み中だから、大学でも殆ど会えない。サークル活動も旅行は終わってしまったし。…ほんとは、旅行から帰ってすぐに連絡するつもりだったけど、ぐだぐだ悩んでいるうちに実家に帰らなきゃいけない日が来てしまった。向こうに帰れば九月まで戻らないから…やっぱ、明日しかないなって。予定が入ってるのは想定内だ、こんな直前になって誘ってる俺が悪いんだから』
-だから、贅沢は言わない。
そう願う彼の声はいつも通りに優しかったけれど-有無を言わさぬ響きが含まれていた。
『立ち話じゃなく…一杯でいいから、お茶に付き合って欲しい。お茶を飲みながら、円城寺と話がしたい。それで十分だから』
-明日は、だけど。
冗談とも本気ともつかない事を言い、スマホの向こうで昴は笑った。
『好きだ』と告げられた事は初めてじゃない。
けれど、改めて。
息遣いさえ感じる近距離で言われるのとでは-まるで感じが違った。
スマートフォンを通しているのに、あたかも彼がすぐ目の前にいて。
耳朶に唇を寄せられて、直接囁かれているかのような錯覚を覚えてしまう。
『なんでいきなり電話なんかって…会いたいから。それ以外の理由はない。夏休み中だから、大学でも殆ど会えない。サークル活動も旅行は終わってしまったし。…ほんとは、旅行から帰ってすぐに連絡するつもりだったけど、ぐだぐだ悩んでいるうちに実家に帰らなきゃいけない日が来てしまった。向こうに帰れば九月まで戻らないから…やっぱ、明日しかないなって。予定が入ってるのは想定内だ、こんな直前になって誘ってる俺が悪いんだから』
-だから、贅沢は言わない。
そう願う彼の声はいつも通りに優しかったけれど-有無を言わさぬ響きが含まれていた。
『立ち話じゃなく…一杯でいいから、お茶に付き合って欲しい。お茶を飲みながら、円城寺と話がしたい。それで十分だから』
-明日は、だけど。
冗談とも本気ともつかない事を言い、スマホの向こうで昴は笑った。

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