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おじさまと咲姫
第38章 目撃
映画はゴールデンウィークの最終日に、初めてふたりだけで行った場所だった。
(厳密な部分はひとまず置いておき)あれが実質的に、初デートだったかもしれないけれど。
あの頃は既に彼の気持ちは知ってはいたが、まだ今ほど熱く『好き』だと語られてはいなかった。
ふたりきりには変わりはなかったけれど、まだそんなに『ふたりだけ』を意識していなかった。
まして彼に何かをされるとか-そんな余計な心配も殆どしてなかったし。
彼にしても、まさかそこで何かをしようなどとは思っていなかったから、気軽に誘えたのだと思う。
でも今の自分達は、その時とは明らかに異なっていて。
それを分かっているから、彼もこうして確認してきているに違いなかった。
咲姫が沈黙すれば、無理強いはよそうと昴は瞬時に判断した。
口実だろうか、こじつけだろうが-折角こうしてふたりだけの時間を持てるようになったのに、それを壊す真似だけは絶対にしたくなかった。
観たい映画があるのは本当で。
それを彼女と行けたらな-そう思ったのも、真実。
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