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禁断背徳の鎖2・約束の砂浜-
第12章 思惑交差のパーティー
予定通りの挨拶回りが終わり、部屋に入った途端に驚いた・・
窓辺近くの椅子に座り、海を見てる美紀の姿…
私の想像を遥かに上回る綺麗さ、子供とも大人とも付かない絶妙な雰囲気で、普段と違って儚げ‥‥
いや、違う…
無意識なのか、何かを考えているのか、浮かない顔をして海を眺め・・・
だからこそ、少し気楽めに声を掛けたのだが…
『そう…
会長が選んだんですもの、確かだと思います』
硬い返事…
まるで、留学前の美紀の誕生日の時のように、絵に描いたような作り笑顔に言葉。
ああ‥と思う…
美紀はこういう、周りの余計な羨望と期待と思い込みを一番嫌っていたと……
だから・・・
『・・・一度だけだ‥後は誰が何を言おうが、正式な場に出すつもりは無い』
こんなツラい顔をさせるのなら、表舞台には立たせない方が良い…
私と同じく、実態を有耶無耶にしてしまえば済む事。
美紀個人としては、十分に世間を渡り歩く知恵も交渉術も持っている…
ただ、今回‥今回一度きり、早乙女本家の娘として立ち回って欲しい‥‥こんなのは一度だけで十分だっ!
「ありがとう……」
「いや、無理をさせる」
それには美紀は、ゆっくりと首を横に振った…
「何時かは‥やらなくてはいけない事だったんですもの…
今日だけは‥‥大人しいお嬢様をします」
「・・・・・そうか」
「ええ…
心配しないで‥会長……」
「・・・・・」
儚く笑う美紀に、私は何も言えなくなる…
『会長』という名の引かれた線、それがこんなに遠いものだなんて……
これが本来の立ち位置なのは理解はしている、親子であり、会長と娘‥いや、会長と時期会長候補…
それが此処まで遠いものだったとは…
親子より恋人‥ずっとそうして来ただけに、この明確な線は辛い、私が言い出した事なのに……
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