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禁断背徳の鎖2・約束の砂浜-
第12章 思惑交差のパーティー



『・・用意周到ですね?』


『伊織を見習っただけだ、何かあったらこれで連絡‥良いね?』


今度こそ、謎の人物は歩いて行ってしまう。


しかし何者なんだ?
主任を伊織と呼び、主任の方もこう‥信頼関係がありそうな雰囲気、身内にしても相当近い間柄に見えた。



「社長、どちらに行かれますか?」


「そうだな…
俺は左に行って見るか、しかし当たりを引くまでどれくらい掛かるやら・・・」


受け取った無線機らしき物を耳に固定して、社長も左と行った方向に歩き出す。



(不味い…
何処か隠れる場所は……)


このままでは社長に見付かる、慌てて手短な場所に入って社長をやり過ごそうと思ったが、扉はどれも鍵が掛かっていて、中に入れない。



「っ!?
お前!!」


隠れる事が出来ず……


俺はしっかり社長に見付けられてしまった…
八方塞がり‥言い訳の言葉すら出て来ない。



「・・・
確か‥秘書課の黒崎だったな?」


「黒崎??」


社長の言葉を聞いて、主任まで俺の側まで来た…
こうなれば、俺は逃げ隠れ出来ない。



「・・後を付けた‥みたいですね…
どういう事だか分かっているでしょう、勝手に持ち場を離れれば……」


「・・・
すみません・・・」


「全く‥これだから俺から遠ざけたんだがな…
目端が利くのは良いが、利き過ぎるのは逆に邪魔になる‥そう今のように余計な事しかしない」


「・・はぁ……」


社長の意見がごもっとも…
幾ら秘書でも場をわきまえない奴は、重役クラスの上の方には付けない。


俺が社長から配置換えになったのも、この余計な勘ぐりが社長の気に触れたから‥また同じ事を繰り返すとは…



「・・黒崎…
今見た事、聞いた事、全てを忘れるというのなら、今回は見逃しましょう…
社長もそれで構いませんか?」


「・・仕方無いな…
此奴に時間を食っている暇は無い」


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