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【寝取られ】喰われる彼女 亜紀
第9章 【寝取られ】喰われる彼女 亜紀(9)

それから1時間くらい経ってからだろうか、亜紀は俺が寝ている部屋に戻ってきた。


「直樹、寝てる?」


「ううん、起きてるよ。」


「大丈夫?ごめん、うるさくて寝れなかった?」


「そんな事ないよ、薬のおかげで大分楽になったし。」


「そっか、良かった。」


亜紀はそう言ってベッドの横に立っていたのだけれど、俺を見てまだ何か言いたげな顔をしていた。


「……ん?どうしたの?」


「あ、あのね直樹……牧原さん達がこれから夜のドライブに行くんだけど一緒に来ないかって……」


「夜のドライブ?どこまで?」


「なんかね、街の夜景が綺麗に見れる場所があるんだって。」


「夜景?そう……か……」


亜紀がそこに行きたがっている事は、表情を見てすぐに分かった。

でもそれが牧原達と、というのがやはり気に食わないし心配だった。

しかし今の俺に亜紀を引き止める権利なんてある訳がない。

この旅行は亜紀も半分旅費を払ってるんだ。そのためにバイトで頑張って貯金をしてきたのだから。

亜紀はこの旅行を楽しむべきなんだ。

俺の看病なんかで潰してほしくない。


「行ってきなよ、俺は別に大丈夫だから。」


「ホントに大丈夫?」


「うん、俺はこのまま寝てるから。楽しんできな。」


「じゃあ……ホントにいい?」


「俺の事は気にしなくていいから、行ってきなよ。」


「……じゃあ……うん、行ってくるね。」


亜紀はただの風邪とは言え、病気の彼氏を置いて出掛ける事に少し抵抗があるようだった。

でも、これで良いんだ。

今回は亜紀のための旅行のようなものなのだから。

それに体調管理を怠った俺が悪いんだから、仕方ないじゃないか。


「あっ、亜紀、でもあんまり遅くなり過ぎないようにな、心配するから。」


「うん、分かった。綺麗な夜景の写真が撮れたらメールで送るね。」


亜紀は俺に笑顔を向けてそう言うと、部屋を出ていった。
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