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ランジェリー騎士団
第7章 ランジェリー騎士団
(隊長の様子がどこかおかしい……。そもそも昨日はこの装いに賛成という態度ではなかったはずなんだ。いや、嫌っていたとさえ言える口ぶりだった。記憶違いなんかであるはずがない。一体、何が?)
彼女を偶然ながらも救っていたのは、剣闘士として生きてきた経験だった。
試合前に対戦相手に毒を盛り、弱らせる。そんな罠が日常茶飯事の世界では油断が命取りとなる。
そして、命を落とすかもしれぬ危険な興業に向き合う剣闘士は自然と現実的になる。
罠にかからぬというのは、人間である以上不可能なこと。ならば、罠にかかってしまった上で生き延びるにはどうすれば良いのかを考えるのが彼らなのだ。
ベルラの取った方法とは――彼女は、着替えのあと、自らのナイフで下腹に小さな切り傷をつけていた。出血の目立たない場所は心得ている。そしてその傷がチクリチクリと痛みの信号を与え――それは、痛みが消えることはなんらかの麻酔的な毒を盛られたことを意味するもので、ベルラは感じ取った正体不明の不穏に対して警戒のつもりでやったことであったが――結果として、ランジェリーアーマーの魔紋の恍惚が彼女の肉体を快楽に絡め取る、その進行を食い止めていた。