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ランジェリー騎士団
第7章 ランジェリー騎士団
だが、この用心深い副隊長にして、まだ脅威の正体が何かを突き止められずにいることには変わりがなかった。
(異変を察知したら、見逃さぬようにしよう――特にフェレリー隊長の挙動には)
油断なく目を光らせる。
今のところ、それができるせいぜいのことだった。
「あらあ、ずいぶんと遅いお出ましね。夕食後のお茶はいつまでも温かいわけではありませんのよ?」
目通りの前に現れた背の低い侍女が、なにやら嫌味っぽいことをフェレリーに告げてかしこまらせる。
辺境から着任したばかりで宮中の噂に疎いベルラには、この子供のような女が何者なのかはわからなかったが、どうもメイド服姿だからといってただの女中というわけではなさそうだ。
それを心に留め置いて、自分は黙って隣で隊長が謝罪するのを聞いておく。
どうやら、フェレリーが昨日役得していた会見の約束をすっぽかしたらしい。
(姫様と会う約束以上に大切なことなど、この役職であり得ない……いよいよ、おかしいな)