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ランジェリー騎士団
第7章 ランジェリー騎士団
ベルラは眉をひそめた。
体調が悪い、というのなら致し方ないが、フェレリーのこの言いぶりではただの職務放棄ではないか。
それほどに差し迫った何かが彼女の身に起きているのか。
そして、それは用事だと見え透いた嘘をついてまで隠さねばならぬ事なのか。
いよいよもって怪しい。
ベルラは王女の居室を去ろうとする彼女の腕を取った。
「心配だ。私が付き添おう」
「ひ、うっ……!」
腕を掴まれた瞬間、フェレリーが全身をびくりと硬直させる。
「どうした……!?」
ただ事ではない、どう見ても。
しかし、身中の何かを必死の意志の力で押さえつけるかのようにして、ゆっくりと姿勢を正すと、再びフェレリーが拒絶の言葉を発した。
「だ……大丈夫だから……私と貴女、二人ともいなくなってしまったら、統制がとれないわ……すぐに戻る、約束するわ……だから……行かせて」
最後には懇願のような言い方になってしまっているのに、本人は気づいていないようだ。
結局、ベルラの手を振り切って、そのままフェレリーは足早に外へと出て行ってしまった。
「……」
彼女の言う通り、副隊長までいなくなってしまっては任務の方が立ち行かない。
その行き先を確めたいのは山々だったが、やむを得ない。ベルラは後で必ず追求すると心に決めて、フェレリーに替わって騎士たちに指示を与え始めた。
※ ※ ※