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ランジェリー騎士団
第10章 ミミの受難

 隊員たちの持ち場への指示を終え、各所での任務状況を一通り見終わった所で、ようやくベルラにはフェレリーを探しに行く時間ができた。

 しかし、謁見の間に繋がる回廊まで来たところでどうしたものかと首を捻る。
 城内の見取り図は一応頭に入ってはいたが、隊長が行きそうな場所となると、まだ見当がつかない。

(あの様子、明らかに何かがおかしい……)

 おかしいと言えば、プリンセスガードの他の騎士たちもだ。
 皆、どこか浮き足立つような妙な興奮を、顔つきに、仕草に表していた。
 姫の警護という栄誉ある勤めの初日であれば無理からぬこととも受け取れたが、隊長であるフェレリーの奇妙な態度と考え合わせると違う疑念もわいてくる。

 しかし、かく言うベルラ自身、何かむずむずと湧きおこる落ち着かない気持ちに気づいていた。

「一体これは……」

 ただの偶然か。それとも何かを意味しているのか。
 たまたまならばそれで良い。そうでなかったときに備えておく。
 ベルラはナイフをとりだして再び自分の肌に傷を入れた。
 チクリとする痛みが、戒めとなって警戒心を忘れさせないよう……。

 と、そこへ廊下の向こうから、他ならぬフェレリーがこちらに向かって歩いて来た。
 一人ではない。見知らぬ兵士と連れ立っている。

「フェレリー隊長……!」
「ベルラ、丁度良かったわ、探していた所よ」

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