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ランジェリー騎士団
第10章 ミミの受難

 フェレリーはワコルの言葉を聞き流したようで、そのまま説明を続ける。

「プリンセスガードの中から姫の直接警護に当たっていない者を輪番で城下警備隊に派遣します……一度に割り当てられるのは一人か二人ぐらいね」
「それはいつから?」

 ベルラが尋ねると、フェレリーはこともなげに言った。

「今日、これからすぐよ。今、手の空いている者は誰だったかしら?」
「ミミ・ホリディナが待機となっていますが……」
「そう、じゃあ彼女に伝えて頂戴……」
「隊長、しかし……」
「よろしく頼むわね。私はこれからまだワコル隊長と今後の体制について相談があるから……」
「ヒヒッ……そーいうわけで、またな!」

 ベルラの反論を遮った二人が踵を返して歩み去る。
 フェレリーは寄り添うように身体を近づけるワコルを避けようともしない。

「……」

 そんな姿を見送りながら、ベルラは何かが起きつつある確信を深めていた。

 ズキン……。

 褐色の肌に開いた警戒の切り傷が痛む。
 しかし、それには少しだけ甘美な感覚も混ざりはじめていることに、彼女はまだ気づいていなかった。

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