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ランジェリー騎士団
第2章 仕立屋の提案

 開明なる王は、目の前に広げて見せられる試作品やデザインのアイデアに、にこにこと笑みを絶やさずに耳を傾け、ときには鋭い質問などをしてみせる。
 が、もう数十名の者たちが目通りをしたというのに、一向に「これだ」と王を頷かせた案はなかった。

 なにしろ、王にとっては10年以上をかけた宿願の隊なのだ。たかが一騎士団の兵装ではすまない思い入れがある。「娘の嫁入り衣装」に等しい思い入れで、「あれも良いが」「いや、これも捨てがたい」と、決めきれず、そして「次の者を呼べ」と、そんなことをもう半日近く続けているのだった。

(姫様……そろそろお疲れではないかしら?)

 フェレリーは王女の顔を覗った。

 王家の者として礼儀正しい振る舞いをしっかりと身に着けているローザンナは、少しも変わらぬ天使のようなまぶしい笑顔のまま父に寄り添い、座っている。

 だが、一度たりとも絶えぬ笑顔というのも、異常なものなのだ。
 そろそろ休みたいことだろう。
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