この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ランジェリー騎士団
第2章 仕立屋の提案
プリンセスガードはまだ正式に発足していないため、フェレリーがここにいるのは、兵装に対する隊長としての意見を述べるためであり、護衛任務ではなかったが、彼女にとって心配なのは自分たちの着る衣装などよりも、姫の体調のほうだった。
「畏れながら陛下、今日はここまでにしてはいかがでしょうか? どの案も素晴らしいものでした。一度これらをじっくりと検討して、その上で、この中から決めるなり、新たに案を募るなりしては……」
ダージリン三世は臣下の直言を厭わない。
フェレリーの申し出に、我に返った顔となった。
「おお、そうじゃな……よくぞ申したフェレリー隊長」
そして傍らのローザンナに尋ねる。
「すまなかったな、夢中になってしまったわい。疲れたろう?」
「いいえ、ちっとも。お父様」
微笑を浮かべたまま、娘が小首を傾げる。
鈴のような声、長く伸ばした薄黄金色の髪が桃色のドレスに散らされている様は、城下で祝祭日に売られる極上の砂糖菓子のよう。その愛くるしさには父親ならずとも心奪われる。
事実、ローザンナは臣下の誰からも、そして国民たちからも慕われ、愛されていた。