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ランジェリー騎士団
第2章 仕立屋の提案

 プリンセスガードはまだ正式に発足していないため、フェレリーがここにいるのは、兵装に対する隊長としての意見を述べるためであり、護衛任務ではなかったが、彼女にとって心配なのは自分たちの着る衣装などよりも、姫の体調のほうだった。

「畏れながら陛下、今日はここまでにしてはいかがでしょうか? どの案も素晴らしいものでした。一度これらをじっくりと検討して、その上で、この中から決めるなり、新たに案を募るなりしては……」

 ダージリン三世は臣下の直言を厭わない。
 フェレリーの申し出に、我に返った顔となった。

「おお、そうじゃな……よくぞ申したフェレリー隊長」

 そして傍らのローザンナに尋ねる。

「すまなかったな、夢中になってしまったわい。疲れたろう?」
「いいえ、ちっとも。お父様」

 微笑を浮かべたまま、娘が小首を傾げる。

 鈴のような声、長く伸ばした薄黄金色の髪が桃色のドレスに散らされている様は、城下で祝祭日に売られる極上の砂糖菓子のよう。その愛くるしさには父親ならずとも心奪われる。

 事実、ローザンナは臣下の誰からも、そして国民たちからも慕われ、愛されていた。
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