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ランジェリー騎士団
第2章 仕立屋の提案

「ごもっとも、しかし、違うのです……このランジェリーアーマーの生地は特別製なのでございます」
「特別製?」と王。
「左様、セリシム絹と呼ばれる魔法の生糸にて編まれております」
「セリシムとな?」

 耳慣れぬ素材の名は、新奇を好む王の心を捉えたらしく、ダージリン三世が身を乗り出す。

「世に奇跡と呼ばれる素材あり。ミスリル銀然り、アダマント鉱然り、そしてセリシム絹もまた然り……」

 謳うように抑揚をつけてフィガロが解説を始める。

「セリシムとは魔法の秘液を飲ませて育てた特別な蚕からのみ取れる絹糸でございます。集めて布生地とすれば、それは魔力を帯び、織り込まれた紋様によって不思議な力を発揮するのです。論より証拠……」

 と、フィガロは胸からハンカチ大の布を取り出し、一同の前でヒラヒラと振って見せた。

 そして、フェレリーに向かって声をかける。

「衛士様、その剣でこれをお斬りつけ下さい」
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