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ランジェリー騎士団
第2章 仕立屋の提案
一同の驚きが覚めやらぬうちに、得意満面でフィガロが売り口上を続ける。
「……普段は着心地を損なわぬ柔らかさでありながら、衝撃を察知すると鋼のように。これは布地に刺繍として縫い込まれた紋様によるものなのです」
「素晴らしい……」
ダージリン三世が呟く。
「しかし、何故そのように下着のような誂えを? よもや人の目を惹く奇をてらっただけのものではなかろう」
予想を超えた神秘を目の当たりにさせられて、王は目の前のこの小男が一筋縄ではいかぬ相手であると認めたらしい。改まった口調だった。
「ひとつには、セリシムが高価である事……」
フィガロの弁に王も、さもありなんと頷く。
「そして、いまひとつには……ごく僅かであってもこの魔法の布は充分に能力を発揮するためでございます」
と、フィガロが近くにあった燭台から火のついたままの蝋燭を取り、助手の胸へと突きつけた。
「……!」