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ランジェリー騎士団
第1章 フェレリー・バローミュール
表通りからの陽気な挨拶に、店の中で忙しそうに陳列品のブラやショーツをあれこれしていた店主が、嫌そうな顔一つ見せず、とびきりの愛想笑いを浮かべてそそくさと出て来る。
店主はまだ年若い男だった。嫁もまだとっておらず、所帯じみた所を感じさせない。名をハロンといい、この店を一昨年、父親から継いだばかりだが、やや卑屈そうな人相をしているが、腰の低さはすでにいっぱしの商人を感じさせる。
声をかけたほうも、また若い。ハロンのいくつか年上という程度、背が高く、屈強と言ってもよいほどの男臭い体格だが、こざっぱりした身なりで、軽装の革鎧に身を包み、帯剣しているのは、彼が城下の治安を守る警ら隊だからだ。肩にきらめくのは隊長章。ローラルナ兵士団のワコル警ら隊長その人である。
そんなむくつけき男が女性用下着の専門店に何用か。もちろん買いもののだめではない。こうしてパトロールをしながら警ら隊の者が声をかけるのはよく見られる光景である。
だが――