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ランジェリー騎士団
第4章 ローザンナとマリッサ
実際、下着としてみれば、さすがはウェルヘルム、その履き心地は実にすばらしいものだった。肌に寄り添うような優しい生地の触れ具合、デザインも確かに女心をくすぐる高雅な華やかさがある。問題はただ一点、それをそのまま衆目に晒すということだけなのだ。
そんなことを考えつつ、ローザンナの居室へと急ぎ足で向かったフェレリーだったが、残念な事にあては外れた。
「姫様はお疲れで、今はお休みでございます」
応対に出た侍女のマリッサはにべもなく面会を断った。
「そこをなんとか。大切なお話しがあると……」
「駄目ですわ。大変お疲れのご様子でしたもの。フェレリー様のご用件は、姫様のご健康を損なわれてでもなさらなければならないものなのですか?」
マリッサの、黒いドレスに白エプロンの愛らしいメイド服は、小柄な彼女にとてもよく似合っていたが、似合いすぎて子供のようにも見える。
だが、ローザンナよりも二つ三つ年上で、幼い頃から姫のお側に仕え、姉のようにしてローザンナの面倒を見て来た彼女は、主人たるローザンナにダージリン三世に負けずとも劣らぬ愛情と忠誠心を持ち、王女に関することで彼女が駄目といったらそれは絶対駄目、そのことは城内で知らぬ者はいなかった。フェレリーも引き下がらざるを得ない。