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ランジェリー騎士団
第1章 フェレリー・バローミュール

 昼も回ってこれからがいよいよ客足が増える掻き入れ時である。それなのに男が店先で突っ立ってブラだのショーツだのをあれこれしていればどうか。女性にとってこれほど入りづらい下着店はない。

 下着店などこの通りには他にごまんとある。ハロンの店とて厳しい競争を強いられているのだ。これでは商売あがったりである。

 ワコルとて、この界隈を長年受け持ってパトロールをしているのだから、そのへんの機微はわかっているはずだというのに、どうして今日に限ってお邪魔虫を決め込むのか。

 勉強したいなどといっておきながら、こうして会話をしながら手当たり次第に棚の商品をつまみあげては、ショーツの股を引っ張って伸ばしてみたり、ブラジャーの匂いをクンクンと嗅いでみたり、真面目に研究しようという態度ではない。明らかに、何か別の用向きがあるとみえた。

「なんだこれは、乳の所に綿が詰められているではないか!」
「あ、あの旦那……そろそろ、お客様方も来店する頃合いですし……」
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