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ランジェリー騎士団
第5章 ランジェリーアーマーの秘密
ヴァレリ事件というのは、かつて他所の国で起きた、王女の失踪事件である。何者かに攫われたとされるその不運な姫君は、未だに行方知れずである。
フェレリーの、そして他の隊員たちにしても、生まれる前の出来事だったが、当時の人々を震撼させたその事件は知らぬ者はなく、子供の頃、悪さをすると、大人から「ヴァレリ姫を攫った魔物が来るぞ」と脅かされたものだった。
「……ところで、隊長。私たちの制服はどうなるのでしょうか?」
ひと段落ついた所で、質問を投げかけたのはミミだった。
もっともな問いで、この隊室に集まった女騎士たちはめいめいに装備を身に着けて来ており――それはほとんどが元いた部隊のものであったが――最も異色なベルラの剣闘鎧はいうに及ばず、ヴィクトリアはフェレリーと似た警備兵の革鎧、そしてミミは士官候補生が着る儀典服を着て来ているといった具合だ。
「もしかして、隊長が今、着ていらっしゃるのが――?」
と、ミミがフェレリーのロンググローブ、レガースブーツ姿を指さす。