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神は現で夢を見る
第2章 漆黒の乙女と薬師

「違わないよ。俺が海」




海は、そう言うと凪の腕をつかんで引き寄せた。


突飛な海の行動に、凪は着いていけなくて多々良を踏んで海の腕の中へ飛び込んでしまう。


抱き締められて、驚く凪。


驚きと恥ずかしさで、真っ赤になる凪を、海は可愛いと思った。


己の知る凪より身体が小さい。


自分より頭ひとつ分しか違わなかった凪が、今は小さい。


小娘と言うより、単に背が低いだけのような気がする。


抱き締める凪の姿は、着物の上からでも解る程、大人の女性の柔らかさを兼ね備えていたから。


だから、海は驚かずには居られなかった。


思った以上に、凪は、大人へと成長していたのだった。




──── 慌てなくても良いか。彼女を怖がらせたくは無いし、また、いちからやり直しだ。それもまた、楽しいかもな ────




「凪、先ずは俺を知って。俺も君を知りたい。君と彼女は、似ていて否なる者だから」




海は、そう言って凪に微笑みかけた。


凪の破顔一笑と言える笑顔に、海は自分の選択が間違っていない事を悟った。



新生、凪との、此が、第一歩であった。





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