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神は現で夢を見る
第3章 凪と海
何が起こったのか。
凪は直ぐには理解出来なかった。
柔らかく重なる唇には、強くて堅い強固な意志が感じられた。
初めは重なるだけの口付けが次第に深くなってゆく。
驚きに襲われ続けている凪には、此処で目を閉じるなんて芸当、端から頭に無い。
肌のきめまではっきりと見えそうな程の近距離に、改めて、海の美しさに驚嘆した。
─── こんな人が、あたしの旦那様になるの? ───
全く信じられずにいる凪だが、海は違う。
彼女の魅力を一番解っているのは彼だった。
今更と言うか、何と言うか、海はひとしきり凪の唇を堪能した後、彼女が目を見開いている事に気付いた。
凪の艶やかに濡れる唇を、海は指で優しく触れながらいたずらっ子を窘めるように言う。
「なーぎ。キスしてる時は、目を閉じなきゃいけないよ」
「えっ、だって、びっくりしたんだもん。き、キスなんて初めてだから驚いて固まっちゃったんだよっ」
凪は、海に唇を撫でられて居たというのに、それさえ忘れて、ぷいっと横を向く。
あっと思って彼女をよくよく見ると、凪は、耳まで真っ赤になっていた。
「は~、凪は本当、可愛いよねぇ……… 」
甘い声と深いため息。
凪は、その声に弾かれたように海を見た。
眉尻が下がった、困り顔。
初めてみる、海のゆるっとした顔。
巷ではこれをデレると言うが、少し感覚のズレた凪には解らなかった。
「海様のそんな顔、初めて見た! 」
「えっ? そんな顔って……… 。そんなに変な顔してた? 」
己の顔をするっと撫でて、海は、尚も変な顔をする。
今度は困惑している。
凪はそんな海を見て、クスッと笑った。