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神は現で夢を見る
第1章 prologue~呪怨~呪と怨念~

「凪、大丈夫か? まだヤレるか? 」


「ん、あたしは大丈夫。海も無理しないでね。あの人の心は闇に落ちきってる。有るのは怨みと呪い…………」


「分かってるよ、凪。さぁ、君の剣を俺に貸してくれるかぃ? 」


「勿論よ……。あたしは、貴方の武器なんだから………… 」




2人の間で交わされた会話は、女からは殆ど聞こえなていなかった。


けれど、僅かに聞こえた声音は、男女のモノだと女にも解った。


やはり、あの2人は男と女。


今一番気になっていた事が解決して、女はほっこりと笑みをこぼした。




その時だった。




ズルッ、


ズルッ


ズルッ。




背中に悪寒が走るような、生理的に嫌悪するかのような、地べたを這うような音が列車内に響いた。




そして。




此処に、現れい出たのは、四つん這いで這う女。


普通の這い方では無い。


腰で上下の向きが違う。


下半身は仰向けでブリッジをしていて、上半身は正面を向いている。


首は一回転して顎を上に向け、逆さまで此方を、否、彼ら男女を睨み付けて居る。


異様な姿の、異様な光景。


日光に庇われる女が、その光景から目を逸らす。


本能が、奴を見るなと、警告する。


『見たら呪われる』


本能が、そう警告していた。




そんな物体を正視出来得る彼等は、一体何者なのだろう。


女は、そう不思議に思った。



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