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神は現で夢を見る
第1章 prologue~呪怨~呪と怨念~
女性を抱えた男が2、3歩後退する。
間合いを図っているのか。
抱えられた女性が、男にキュッとしがみつく。
瞼を固く閉じて、抱き付く女の頭を男は優しく撫でてから、そのままその手を前に突き出す。
ただ、逸れだけ。
なのに、2人の目前に円を描くように現れた10本の剣。
総て同じ形。
総て同じ間隔で円を描き、くるくると回っている。
どう言う事?
どうやって現れたのだろうか?
それ以前に、いいのか?!
銃刀法違反に成らないのか?
と、女は至極現実的な事を思案する。
そう思いつつ、目の前に、現実には有り得ない化け物が存在する以上、こんな事も有り得るのかと、何処かで納得する自分もいた。
要は、感覚が麻痺していたのだ。
女は。
グギギギギ………
ギギギギ………
化け物の口から、奇っ怪な音がする。
何かをこすり合わせる音。
「哀れな…………。総てを失って、妄執だけが残ったか。お前は生者を殺しすぎた。だからせめてもの情けだ。一思いに逝かせてやろう……… 」
そう言うと、男は化け物に向かって腕を振り下ろした。