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神は現で夢を見る
第1章 prologue~呪怨~呪と怨念~
全てにおいて、完璧な美とは彼のような人を言うのだろう。
そして、その腕に抱きかかえられている女は、一見美少女のようだ。
幼女のごとく幼く見える彼女は、よく見ると、小さい身体を持ちながらも身体付きは女のそれ。
丸みを帯びた、女特有の色香を醸し出している。
女は、思った。
あぁ、この2人は、夫婦なのだと。
お互いを慈しむ表情が、周りに逸れとなく知らしめる。
お互いに、『この人以外には居ない』のだと。
男が言った。
「本当に、部下の不手際で恐ろしい思いをさせました。貴女に罪は無い。アレを見たからには、未来永劫、貴女は呪いに苦しめられる。だから………… 」
男は唐突に、女の額に指を付ける。
「忘れて下さい。これは、全て夢なんだと……。そう、悪い夢だ」
女は、唐突に崩折れ、眠りに落ちた。
日光に抱えられ、座席に座らされる女。
「これは夢。目覚めれば何も覚えていない」
男はくしゃりと、女の頭を撫で、笑った。