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神は現で夢を見る
第1章 prologue~呪怨~呪と怨念~
女は、はたと目を覚ました。
連日連夜の残業続きで、体力は限界に来ていた。
だから、帰りの電車の中でうつらうつらと寝てしまったのは、不可抗力だった。
ガヤガヤ、ざわざわ。
微睡んでいた意識が浮上する。
目を覚ましたのは良いが、何か夢を見ていた気がする。
だが、何も思い出せない。
電車のアナウンスが、女の下車する駅の名を繰り返して、彼女は、慌てて降りる準備をし始めた。
うん、この時間ならスーパーもギリギリで駆け込める。
深夜12時まで開いているスーパーを思い浮かべて、女は開いたドアから他の乗客に紛れ込む。
ふと、彼女を眺め、口角に微笑みを刻んだ人物に、彼女は気付かずに慌ただしく電車を降りて行った。
彼女に、
幸おおからん事を願う────。