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神さま、あと三日間だけ時間をください。
第1章 ♭眠れぬ夜♭

琢郎の妻となって十一年、美海はもうすっかり、一人の女としてよりは〝矢坂琢郎の妻〟という立場に慣れきっていた。何のときめも希望もない代わりに、不安も哀しみもない生活。今更、一人に戻ったところで、アラフォーのしかも特に美人でもなくスタイルも良いわけでもない自分に新しい出逢いが転がり込むとも思えなかった。
つまり、今の安定した暮らしを失いたくない、その一心がこうした姑息な―何が何でも夫をその気にさせようという気持ちに美海を駆り立てているのだともいえる。
もしかしたら、夫婦間の意思疎通を図る手段は他にもあるのかもしれなかったけれど、今となっては、美海にはこれくらいしか思いつく手段がなかった。
つまり、今の安定した暮らしを失いたくない、その一心がこうした姑息な―何が何でも夫をその気にさせようという気持ちに美海を駆り立てているのだともいえる。
もしかしたら、夫婦間の意思疎通を図る手段は他にもあるのかもしれなかったけれど、今となっては、美海にはこれくらいしか思いつく手段がなかった。

