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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第5章 しのちゃんの受難(三)
けれど、医者や弁護士や官僚より、水谷さんのほうがずっと智子先生にはお似合いだと思う。
酒乱も目の当たりにしているし、このGカップを前にして「我慢する」と言えるのだし。
うん、なかなか言えないと思う。
「智子さんのお住まいは近くでしょうか?」
「誠南学園の独身寮で、ここからは近いです。一人暮らしですよ」
「それは残念。ご実家にお住まいなら早々にご両親に挨拶できると思いましたけど、またの機会になりそうです」
「……あの、明日、智子先生はお休みですよ。それ以降は、たぶん、夏休みまで忙しいです」
智子先生、ごめんなさい!
私、二人がうまくいけばいいと思ってしまったのです!
あなたの情報を売ってしまう私を許してください!
水谷さんは一瞬目を見開いて、微笑んだ。
「それは、このまま智子さんを連れて帰ってもいいということでしょうか?」
「はい。本当に智子先生を幸せにしてくださるなら」
「ならば、連れて帰ります」
水谷さんはそれはもう嬉しそうに笑って、踊り出しそうなテンションで帰宅の準備を始める。
私たちが飲食したよりも多めにお金を置いて、板長に挨拶する。
私の分までもらえないと言っても、水谷さんは聞き入れてくれないので、ありがたくご馳走になることにする。
「では、しのさん……失礼、お名前は?」
「篠宮小夜です。しので構わないですよ」
「では、篠宮さん、智子さんをお借りしますね」
にこやかな笑みを浮かべて、水谷さんは立ち上がる。
本当に幸せそうだ。
彼ならきっと、智子先生を幸せにしてくれるに違いない。
美男美女でお似合いだし。
それに、我慢もしてくれるようだから、処女は守られるだろう……たぶん。