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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第10章 しのちゃんの受難(六)
「小夜」
「んー?」
「気持ち良かった」
「……はいはい、先に洗ってちょうだい」
お風呂に入ってから、宗介はずっとこの調子だ。目の中にハートマークでも入ってしまったかのように、だらしなくニヤニヤ二へ二へ笑っている。
湯船から出て体を洗っていても、ちらちら私を見てはデレデレの笑顔を浮かべている。
「そんなに見なくても」
「全裸の小夜がかわいい」
「……あ、ありがと……?」
「照れている小夜もかわいい」
……この人は、ずっとこんな恥ずかしいことを言い続けるのだろうか。
「たくさんキスマークがついている小夜もかわいい」
「……ほんとだ。すごいついてる」
胸から下は、「見えない」と判断されて非常にたくさんのキスマークがついている。
情事を知らない人が見たら、病気なのではないかと思われるくらいには、酷い。
まぁ、来週、教育実習が終わる頃には消えているだろう。
「小夜、好き」
「……ありがと。シャンプーはそっち。コンディショナーは使う?」
「いや、シャンプーだけで大丈夫」
さっきシャワーを浴びたときは、体だけ洗ったから、シャンプーのボトルは初めてなのだ。
洗ってあげてもよかったのだけれど、過剰サービスかなと思ってやめた。まぁ、次回気が向けば、ということにしよう。