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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第10章 しのちゃんの受難(六)

「っあ」

 宗介が手首を離してくれて、ようやく時間が動き始める。
 私は枕に突っ伏して、息を吐き出す。まだガクガクしている膝に、笑うしかない。
 そんなに、激しかった?

「抜くよ」

 あぁ、抜かないで。まだ余韻を楽しんでいたい……。
 けれど、宗介は手早く萎え始めた肉茎を取り除いてしまう。そして、白濁液が溜まった避妊具をティッシュの中に閉じ込めてしまう。

 ぼうっとした頭でその一連の動作を見ながら、「慣れているなぁ」なんて思う。
 宗介のセックスの手際は、いいと思う。きっと、大学生になってから、彼女がいた時期があったのだろう。
 そういえば、彼がフリーなのか聞くのを忘れていた。彼女がいるなら、関係は続けられない。まぁ、宗介がそんな不誠実な人だとは思えないけれど。

「小夜、ごめん」
「えぇ?」

 だるい。もうこのまま眠ってしまいたい。足、動かないし。
 とりあえず、四つん這いは恥ずかしいので、ゴロリと横になる。

「俺、一瞬」

 ティッシュを私に渡してくれながら、宗介はしょんぼりとうなだれている。陰部に溢れる愛液を拭い取りながら、宗介の言葉を待つ。

「――ゴムを取り外して、中に出したいと思ってしまった」

 ……え、あ、そんなこと?
 そんなこと、男なら誰だって考えるものじゃないの?
 なのに、宗介は、すごく罪悪を感じてしまったらしい。本当にしょんぼりしている。
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