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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第10章 しのちゃんの受難(六)
「小夜のことは大事にするって決めたのに、小夜が心を許してくれた途端にこの体たらく……俺、ほんと情けない」
「いいよ、考えるくらいなら」
「……否定しないんだ?」
え? あぁ、「小夜が心を許してくれた」のこと?
だって、事実だもの。否定する理由がない。
落ちていたショーツを拾って、よいしょと穿く。Tシャツを上から着る。そして、ごろんと横になる。
「気づいた?」
「宗介欲しい、奥にちょうだい、だなんて……俺、嬉しすぎる」
ボクサーパンツを穿いてTシャツを着た宗介が隣に寝転ぶ。
ちなみに、彼に貸したTシャツは、昔買ったバンドTシャツだ。私には大きくて、部屋着になる運命だったTシャツ。恋人の寝間着になるなら本望だろう。
「駄目だった?」
「駄目じゃない。もっと言って欲しい」
宗介は優しく額にキスをして、腕枕をしてくれる。痛くならないように頭の位置を調節して、じぃっと宗介を見つめる。
「小夜、好き」
「それも言わせたい?」
「当たり前じゃん。言わせたい。言って欲しい。俺のことを少しでも、ほんの少しでも、好きなら」
ほんの少しでも、と宗介は強調する。そんなふうに言われなくても、十分、私は宗介のことが。
「宗介」
「はい」
「妄想するのはいいけど、実践するのは駄目。私は妊娠したくないからね」
うんうん、と宗介は頷く。
こつんと額を当てて、唇にそっとキスをする。