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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第13章 しのちゃんの受難(八)

 月曜の朝は智子先生がげっそりしているのが「普通」になりそうだ。目の下に、コンシーラーでも隠しきれない隈ができている。

 ……ひ、一晩中、だったのだろうか?

 水谷さんは、処女の智子先生にどんなプレイを強要しているのか――そんな下世話なことを想像してしまう。
 宗介も「寝かせない」と言っていた割には、私が眠ってしまったから、きちんと眠ることができた。あれが一晩も続いたら……体がボロボロになってしまいそうだ。
 そんなことになったら、恐ろしい。身震いしてしまう。

 それにしても、智子先生の服装は、かなり良くなった。今日のストライプの襟の大きなシャツにスキニーパンツもよく似合っている。先日身につけて気に入ったのか、首元のスカーフもいい感じ。

 事情を知らない他の先生から体調を心配されながら、智子先生は気丈にも「大丈夫ですっ」と微笑んでいる。
 ……よくわかります、智子先生。私は、筋肉痛がつらいです……ほんと、つらい。

「おはようございます、篠宮先生」
「おはよう、里見先生」

 輪転機を使いに来たのか、宗介が職員室にやってくる。いつも通り挨拶をして、国語準備室へ向かおうと立ち上、が、る。る。
 つらい……股の付け根とか、お腹とか、背中とか、太ももとか、本当につらい。痛い。
 歩くのもしんどい。今日はなるべく歩かないように行動を調節しよう。

「大丈夫ですか?」
「大丈夫、です。筋肉痛がつらいだけなので」
「あぁ……すみません。上手に加減できなくて」

 すれ違うときに、視線を絡ませて、少しだけ話をする。ただそれだけなのに、体に熱が生まれる。体は正直だ。

「次も楽しみにしています」

 宗介の言葉に、体が火照っていく。
 ……体が正直すぎるのも、考えものだわ。
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