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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第13章 しのちゃんの受難(八)
月曜日は、筋肉痛に耐えながら何とか授業を切り抜けた。
本当に辛かった。一時間がとても長かった。板書さえなければ、ずっと椅子に座って授業をしたいくらい、しんどかった。
もう、あんな一日はごめんだ。
火曜日になるとだいぶ痛みも引いてきた。同じように智子先生の顔色も良くなっていた。
宗介は国語準備室には来なかったし、私も私的なことで話しかけたりはしなかった。連絡も夜帰宅してからしか取っていない。
だから、私たちのことはバレてはいない、と思う。梓にしか。佐久間先生は鈍感だし、色恋には興味がない人なので安心だ。
一人だけ、そういう空気が敏感な先生はいるけれど、彼女は昨日も今日も自分のことで手一杯のようだった。
水曜日、だいぶ回復した智子先生を誘って、飲みに行くことにした。もちろん、飲ませすぎないように、と固く決意して。
「……で、里見先生と何かあったわね?」
ほら、ちょー敏感。もう、私、智子先生に隠し事ができる気がしない。
どら猫亭は避け、個室のある駅前の居酒屋へやって来ていた。魚介類が美味しい、まあまあの店だ。
「えー、まぁ、なんて言いますか。付き合うことになりました」
「いいじゃない。学生だけど成人しているのだから、問題があるわけじゃないわ」
枝豆を口に放り込みながら、智子先生はビールを飲み、飲み、飲む。ピッチ早い! だめ! ストップ!
「智子先生もっ! 水谷さんとは仲良くやっていらっしゃいますか!?」
「あー……なんか、ハメられたのよ」
え、水谷さんの硬いアレを?
思わず口にしてしまいそうになり、頑張って閉じる。必死だ。
「再来月、結婚することになったの……」
「おめでとうございます!」
「ありがとう……って、良くない! 本当は良くないの!」