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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第13章 しのちゃんの受難(八)
智子先生のライフプランの中に、「ナンパしてきた男」と「出会ってすぐ」「結婚を考える」ことは入っていなかったらしく、どうやらそこが気に入らないらしかった。
「こんなはずじゃなかったの。徹さんは毎日愛してるって言ってくれて、ご飯も美味しいって食べてくれるし、一緒にいて気が休まるし、私のことを褒めてくれるけど、ほんと、出会いが最悪でしょう?」
その口調から、水谷さんのことは、大変気に入っているようだ。良かった。安心した。
それに、別に最悪な出会いではない。飲んで私に絡んでいたところをお持ち帰りされたのだから、全然、問題ない。酒乱をご存知なのだから。
「本来なら、友達の紹介で知り合った人と、一年くらいかけて愛を育んでいきたかったのに……どうしてこんなことに」
「いいじゃないですか。愛はこれから育むんですよ。それに、水谷さんは成人していらっしゃいますし、定職にも就いていらっしゃるじゃないですか」
宗介はまだ学生だから! ね!
まぁ、学園の教採が受かれば、来年度には同僚になるんだけれど。
「まぁ、そう言われるとそうなんだけど……私の体を労わってくれないところだけは不満だわ」
「……週末は、しんどいですか?」
智子先生はサーモンのカルパッチョをつつきながら、ため息をつく。
「世の中の既婚女性は大変ね。結婚したら、毎晩あれが続くんでしょう? 私、本当に体がもたないから、週末婚でもいいと思うの」
「……智子先生、つかぬことをお伺いしますが、水谷さんは処女を守ってくださっていますか?」
智子先生の顔が真っ赤になる。「私、そんなことまでしのちゃんに話していたの!?」と泣きそうになっているので、頷くしかない。