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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第16章 しのちゃんの受難(十)
昨日、教育実習最終日。
一日中、ひたすら授業がやりづらかった。本当に勘弁してほしかった。
どのクラスへ行っても、最初に「里見先生と結婚するの!?」と聞かれるからだ。仕方がないと諦めて、「とりあえず、すべては十ヶ月後です」と答えることで何とか難を逃れたのだけれど、ただでさえ五分短縮授業なのに、授業が全く進まなくて本当に困った。来月の頭には期末試験なのに、どうしよう、もう。
集会のあとの授業で、宗介は「頑張ってください!」「しのちゃんは任せた!」「しの先生を幸せにしてあげてよ!」と生徒たちから激励の言葉を多くかけられたようだった。
ちなみに、私は「里見先生、執念深そうだから、頑張って?」「実は里見先生に協力していたの、ごめんね?」という、同情的な言葉をよく生徒たちから受け取った。
内藤さんだけは、「小夜先生は里見先生よりもっといい人がいるよ!」と断固反対を貫いていて、とても新鮮だった。
とにもかくにも、宗介の「公開失恋! 俺の篠宮先生に手出しをするなよ」計画は成功したらしい。
とんだとばっちりだ。