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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第16章 しのちゃんの受難(十)
「宗介っ」
ほんの少しだけ触れ合わなかっただけなのに、どうして、こんなにも求めてしまうのだろう。
そばにいたのに、ちょっとだけボディタッチやハグやキスもしたのに、毎日毎晩「好きだ」って言われていたのに。
それじゃ、足りない、なんて思ってしまう。
もっと、って求めてしまう。
今だって、スーツ越しの体温でも十分暖かくて、気持ちいいのに――素肌で触れ合いたい、だなんて。
「……小夜、ごめん」
視界が遮られ、唇が塞がれる。唇を少し開けて、宗介の侵入を許す。
許して、しまった。
熱く私を求めてくる宗介の舌に、コーヒー味の舌を絡めて、私はぎゅうと宗介を抱きしめる。
コーヒー味の唾液を飲んで、窒息しそうなほどに深いキスをして。
宗介の「ごめん」の意味を考える。
抱き合うだけじゃ満足できなくて、ごめん? 禁止なのに、キスしてごめん?
違う。
「っは」
一瞬だけ唇を離して、視線を絡ませて、お互いを結ぶ唾液がふつりと切れたら、またキスをする。