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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第16章 しのちゃんの受難(十)
「――抱いて」
口にしたあとで、顔が真っ赤になる。
わ、私ったら、なんてことを。
宗介は私から離れようとしていたのに、すぐに腕に力を込めて私を抱きしめて、はぁと大きくため息を吐き出す。吐息が耳にかかり、またそこが熱を持つ。
「小夜。煽らないで」
呆れたような声が左上から落ちてくる。自分より熱くなっている私を見て、冷静になったのかもしれない。
「……ごめ、……そう……」
ごめんなさい、宗介。
じわりと涙が滲む。
嫌われたかな? それは嫌だな。
嫌われたくない、なんて、都合がいいかな。
宗介に愛されているからって、調子に乗りすぎちゃったね、私。
「小夜」
宗介から甘く求められる声に、私の下腹部が疼く。熱が生まれる。
だめ。そんな声で私を呼ばないで。期待してしまう。
甘えてもいいんだって、誤解してしまう。
「好きだよ、小夜」
耳介をペロリと舐められて、体がびくりと反応する。舌がそのまま耳朶の赤いピアスを一舐めし、首筋にたどり着く。
ぬるく与えられるくすぐったさと気持ち良さに、声が漏れる。
「っあ、ふ」
「……小夜」